この生徒さんも、発表会のための選曲をして、その練習をしてきたわけだが、その選曲の際の注意点として、他の生徒さんなどから、
「あの人、高学年なのに、簡単そうな曲だったね・・」
とは、絶対に思わせない選曲と、演奏の仕上がりにする!というのが、自分の目標でもあった。
生徒さんが、基に戻るレッスンで、基礎の基からやって、譜読も演奏力も、以前とは比べ物にならないほどに、格段にレヴェルアップしてきたのは確か。
発表会の曲は、この今までやってきたことの延長線上にあり・・・つまり、自ら譜読が出来て、自らの練習で仕上げることができる曲で、しかも普段よりは少しだけレヴェルが高く、聴いていて簡単そうには聴こえずに、演奏効果が高い曲でありたい・・・。
そこで、数ヶ月前の選曲時に考えていたように、邦人作品と、現代アメリカ作品のロマンティックな小品の組み合わせにして、2ヶ月半くらいをかけて、準備をしてきた。
2曲とも少しページ数が普段より長いので、譜読は期間が要したが、基に戻る生徒さん自身の力で、譜読みをすることはできた。
そしてここからが肝心。
普段の基に戻るレッスンでは、教本の曲は短いので、譜読みを終えると、次第に音楽の流れにのることができるようになっていたが、今回は普段より少し曲の難易度が上で、曲も長いので、油断すると音にはなっているが、音楽の流れが停滞するような演奏になってしまいがちに・・。
そこで、音楽の流れにのるという意識よりも、音楽の流れを自ら作り出すということを、レッスンで演奏中に何度も横で歌ったり弾いたりしながら、この1ヶ月間かなり重点的にやってきたが、これがここにきてかなりできるようになり、演奏が前へと進むように感じられる。
これくらいの演奏になってくると、曲自体はそれほど難しくないのだが、表現力豊かな感じで、音もしっかり出ていて結構豪華に聴こえる。
基の戻る生徒さんは、まだ自信を持っていないようだが・・・この仕上がりの状態なら、他の生徒さんや保護者さんからも、
「あの生徒さん、とても上手になったね」
という感想が聴けるくらいの演奏が、本番でも出来るかもしれない。