この生徒さんは、以前に習っていた指導者が、遠くへ引っ越してしまうために、自分が引き受けた生徒さんで、自分が出演する演奏会などに来ていただくのは、初めてだった。
お母さん : 演奏会、とても楽しかったです。もう、この子と夫と3人で、終わってからも「凄かった!」を連発しました。
モリス : どうも、ありがとうございます。いい曲ありましたか?
お母さん : どれも素敵でしたが、最後の曲が迫力があって、良かったです。
それに、夫とも言っていたのですが、クラシック音楽専用のホールでの演奏会で、演奏会のポスターが会場にも貼ってあって、チケットもあって、そこで先生がバリッと弾かれていて・・・なんか、「こんなに凄いなんて」と思ってしまいまして。
モリス : えっ?・・ああ、どうも・・・。でも、以前の先生も、演奏会、コンサートなどは?
お母さん : いえ、そんな話は一度も無かったです・・。
モリス : では、歌とか合唱の伴奏とか、そうした活動をされていたのでは?
お母さん : いや・・・そういったことも無かったと思います。ですから、今回の演奏会を聴いて、夫と子どもと、ステージ演奏をできるような現役で演奏をされている先生に習えるなんて、とても幸運だと思いました。
モリス : あっ、いえ、別に、そんなに凄いことでもないですが・・・でも、生徒さんや保護者さんが、生演奏に触れる機会をつくるのも、自分の演奏の目的ですので、聴いていただけて良かったです。
といった内容の会話だったが、このお母さんの頭の中のイメージとしては、
「ピアノ指導者=以前は弾けたかもしれないが、今は指導だけやっていて演奏はしていない人」
ということだったらしいので、今回の演奏会は、ある意味衝撃だったようだ。
演奏活動を全くされていなくても、教えることが上手という指導者さんも、世の中にはたくさんいると思う。
ただ、自分がこれまでに習ってきた先生で、「このレッスンは中身濃いなぁ」とか「参考になった」という実感のある先生は、皆さん、何かしらの演奏活動を、回数の多い少ないはあるとしてもやっていて、そのためにご自身もしっかり勉強、練習されている先生だった。
レッスンでも、口で言うだけでは伝わらないこともあるから、やはり実際に隣で弾いてみせることは重要で、自分もまだまだではあるが、演奏そのもので伝えるレッスンをしていきたいと思っているし、可能な限りは演奏活動をしていきたいと思っているので、生徒さんや保護者さんからのこうした感想を、また次へのモチベーションとして、がんばってみようと思う。
レッスンで実感として伝えやすいのはやはりご自身も演奏活動をされている先生かなと思います。
また、実際に自分が習っている先生がコンサートで演奏されている姿を見ることで、生徒さんも生演奏の良さはもちろんですが、それ以上にステージに対して親近感というか、現実のものとして受け止めやすいのではないでしょうか。
モリスさんの生徒さんたちも、きっとこれからの練習へのモチベーションが高まって、みんなさらにがんばってるのではないでしょうか。
なんだかうまく書けませんが・・。
もちろん、様々な事情でご自身は演奏されていなくても、生徒さんを上手に育てられている先生もいらっしゃいますよね。
自分も、レッスンでは、演奏そのもので伝えたいこと、感じてもらいたいことがあるので、それ相応に弾けている指導者でありたいと思っています。
おっしゃるように、ステージに対して、親近感と同時に、「出るからにはあれくらいやろう」というようにも思ってもらいたいというのもありますよね。
そして、理想というか、いつかは自分を追い抜いていくくらいの生徒さんを、たくさん育ててみたいと思っています・・・。