5歳から始めたのだが(自分のところに来たのは、小学2年になってから)、レッスンのペースはゆったりとしているので、例えば某全国規模のコンクールの、その学年に合った課題曲を弾けるような実力には到達できてはいない。
だが、彼女は、音を感じとるということ、そこからさらに音楽を広げていくということに、かなり良いものを持っていて、シンプルなメロディーラインを歌う曲や、ゆったりとした和音進行の曲などを弾いてもらうと、ピアノから響きを引き出せている。
レッスン中に話もよくしてくれて、
「小さい頃から、お母さんもお父さんもクラシック音楽が好きで、いろんな曲を聴いていた」
ことや、
「家で弾いているピアノは、お母さんが子供の頃から弾いていたピアノを、今も年に1度の調律をしながら大切に使っている」
ことなども、これまでに話してくれた。
(生徒さんの母親が、子供の頃にピアノを習っていたというケースは少なくないが、そのピアノを親子二代でそのまま使っているというのは、それほど多くないように思う)
また、先日は久しぶりにオーケストラを聴き行ってきたとのことで、
「後半は知らない曲だったけれど、顔に音が『ビーン』と来るような響きで、楽しかった」
とのこと。
彼女のレッスンペースは、今後もきっとゆったりとしたものだろうが、感受性豊かな部分をさらに伸ばしながら、そこにうまい具合にテクニックを少しずつ向上させて、ピアノと楽しみながら小品を質良く弾けるようになってくれればと思っている。
きっとモリスさんが生徒さんの個性を大事にする、質のいいレッスンをされているんですね。
コンクールにバンバン出させることだけがいいレッスンではないと思うので(そういったレッスンももちろんいいと思うし大事ですが)、優しい心を作っていける音楽の良さというものを感じました。
コンクールに出場でモチベーションアップもいいですが、この生徒さんみたいに、ゆっくりとしたペースだけれど、しっかり継続というのもいいですよね。
これからも、この生徒さんの音楽を感じる心が、ピアノ演奏に一層結びつくようなレッスンができればと思っています。